アライグマとの戦い③

あの腐れたぬきめが、どうやってやっつけてやろうか、

そうだ。釣ってやる。食いついたたぬきを撲殺してやる。金魚の恨みその命で償えや！！

道糸は8号、これがハリスと一緒、天井の軒に吊るし、釣り針はウナギ針の10号、餌は鶏の角切り、針は1本ではない。5・6本めり込ませて口にぐしゃぐしゃに刺さるようにしてやる。

その日、会社から帰って仕掛けをセットした。ほんの少し地面から浮かせて、たぬきが簡単に食べれるようにセットした。

しかも餌をとるためにたぬきが立ち上がって餌に食いついた瞬間に、地面がカクンと落ちてたぬきの自重で針が刺さるように板を置き、板の下に石を置いてシーソーの原理で落ちるようにした。

絶対に食いつく！！

確信はあった。食いついて針が刺さり苦悶しているたぬきが逃げられずに居るのを想像するとリベンジを果たせた気になった。

（国産金魚）茶金（3匹）

ところがその仕掛けを見た父親が

『なにそれ、そんなんじゃたぬきなんか釣れんぞ。あいつらの力は凄いぞ。釣り糸の8号なんか簡単にちぎって逃げるわ。』

と言われた。まさか釣り糸の8号は人間でも引きちぎれないのに、たぬきごときが切れるもんか。そう言ったが、父親は笑いながら

『そう思うんなら、そのままやってみたらいい。』

と言った。マジですか・・・・・。

その夜、深夜0時その時が来た。

カタン、ダン、ブチッ、何だそれ・・・・。

国産　桜東錦 （サクラアズマニシキ）3匹 全長6〜7cm 2016年12月16日

1・そっと背伸びして餌にかぶりついたところシーソーの原理でカタンと落ちて針が刺さる。

2・痛いこれは罠だと気付いて逃げようと走り出して反対側の板に載ってダンと再びシーソーの原理で落ちる。

3・勢いよく走りだし、力強く釣り糸をブチッと引きちぎる。

一瞬の出来事だった・・・。

たぬきらしき生き物は市川を渡って逃げたらしく、針の痛みに泣きながら逃げるたぬきらしき生き物に、対岸の民家の犬が順番に吠え掛かり、その鳴き声は

ワンワンワン　アオ～ン　ワンワンワン

ワンワンワン　アオ～ンワンワン　ワンワンワン　アオーンと山に向かって遠ざかって行った。

以来、平和な日々が続いた。しかし、一応水槽はガチガチにガードした。当然、金魚たちは安全に平和に暮らした。

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