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チョイ話、本当の浦島太郎物語

ある日、歳をとったウミガメが海岸に産卵に来ていました。

当時の日本ではウミガメの卵は重要なタンパク源でした。その日も村の子供たちは朝早くからウミガメの卵を取りに来ていました。

年を取ったウミガメは海に戻るのが遅れて、その子供たちに見つかってしまいました。子供たちはウミガメの通った後から卵のアリかを見つけ、すべて掘り出してしまいました。

さらに、子供たちはあろうことか失意のウミガメをいじめはじめたのです。

『ウミガメってよ、歳とったら人の言葉しゃべるらしいぞ。』

『マジで、いじめたらやめてとか言うのかなあ。』

『とりあえず、いじめてみようぜ。』

人間の子供は動物に対して今も昔も残酷なものです。子供たちのウミガメに対する殴る蹴るの暴行は1時間以上続きました。

いじめられながらウミガメは悔しくて悔しくて、人間への復讐を決意しました。『竜宮城へ連れて行ってやる!!』そうすれば乙姫様が人間に罰を与えてくださる。

そこに、朝から海で釣りをしていた浦島太郎という青年が通りかかりました。彼は心優しい青年で、亀の惨劇を見て、『助けなければ!!』と思い。

『こらー、おまえたち、何してるだ~。』

と子供たちに怒鳴り散らし、追い払いました。助けられた亀は、人間にもやさしい奴がいるんだと心が温かくなり、ついうっかりお礼の言葉を発してしまいました。

『ありがとうございます。』

お礼の言葉を述べて、亀は大変なことをしてしまったことに気づきました。海の生き物の掟で人の言葉をしゃべれることを人間に知られてはいけないのです。もし知られた場合はその人間を食い殺すか、竜宮城に連れて行って毒殺しなければいけません。

命の恩人を殺さなければならない。亀は良心の呵責にさいなまれましたが、掟は掟、裏切れば自分が殺されてしまいます。そこで思い切って青年を竜宮城に誘おうと目を見開きました。するとそこには信じられない光景が有ったのです。

自分を助けたやさしいはずの人間の青年の腰に下げている魚籠の中には、海の仲間が捕まっていて、苦しそうにうめいていました。

『助けて・・・、死ぬ・・・・、苦しい。あっ、熱い・・・。熱い・・・。』

亀や蟹以外の海の生き物にとって、昼間の空気中にあげられることは、人間で言うと火あぶりと同じ苦痛になります。

『なんということを、この人間も外道だ。』

もう、ウミガメには何の迷いもありませんでした。

『助けていただいたお礼に、竜宮城にご案内します。そこでお礼の宴を催しますので、どうかお楽しみください。さあさあ、私の背中に乗ってくださいまし。』

セリフはものすごく好意的なのですが、実は『竜宮城にご案内します』という言葉に幻術が仕掛けられてて、亀からこの言葉を聞いたものを強制的に竜宮城に連行する力になります。

ウミガメに幻術をかけられた浦島太郎は言われるままに亀の背中に乗り、竜宮城へと連れて行かれてしまいました。

竜宮城についた浦島太郎は、客間で待たされました。その間、最後の晩餐の用意が進められました。普通は毒を吹きかけられて、数日間の記憶を奪われて、元いた浜辺に捨て置かれるのですが、今回の青年はウミガメを助けてくれた一応恩人です。ただ海の生き物の掟に従い殺されることは決まっていたのですが、せめて最後に楽しい思いをしてから死んでもらおうと、祝宴が用意されたのです。

海の生き物の代表として人魚の乙姫は、浦島太郎に礼を述べ、宴会場へと導きました。そこで浦島太郎は美しい人魚に囲まれてお酒を飲み、ごちそうを食べ、鯛やヒラメの舞い踊りを見て楽しみました。

したたかに酔った浦島太郎はいつの間にか眠ってしまいました。それを見た乙姫たち人魚たちは、

『この人間は普通では経験できない海の生き物の宴会を楽しめたんだ。もう満足だろう。』

と話し合い。浦島太郎の殺害方法を検討し始めました。その結果、苦しまずに何が起こったのか分からない間に死んで行ける方法を採用することに決めました。

翌朝、目を覚ました浦島太郎に、乙姫は玉手箱という箱を渡しました。中身は老化を加速させる毒の煙です。海の魚に取って老化は命取りになります。餌を獲れなくなって、弱って行き、他の海の生物の餌になる道が残されるだけです。

つまり、老化=死刑に等しいのです。この毒の煙は海の魚に取って、最も重い罪を犯した者に使われるものです。老いの悲しみ、老いによる飢餓、そしてそのために他の生き物に捕食される恐怖にさいなまれる日々を与え、最後には食い殺されてしまう。そんな結果を招く毒の煙です。

ところが、この煙を人間が吸えば、老化が加速し、青年だとすぐに老人になり、翌日には動けなくなり、すぐに意識を失い。2日目には肉体を腐らせ、土に返す。という効果を出します。

ただ、人間には苦痛はなく、気が付いたら死んでいるので、死の恐怖はないと乙姫とウミガメは判断したのです。

『今日の記念にこの玉手箱をお渡しします。この玉手箱は見て楽しむもので、決して中をのぞいてはいけませんよ。のそけば大変なことになるので、消して玉手箱は開けないでください。』

そう乙姫は浦島太郎に告げました。しかし、その後浦島太郎に催眠術をかけました。

【家に着いたら、この玉手箱を開けなさい。】

再びウミガメの背中に乗り、元居た砂浜に戻った浦島太郎は玉手箱を持って家に帰りました。

『そうだ。神棚の下にこの玉手箱を飾ろう。』

浦島太郎は美しい乙姫の云う通りに玉手箱を飾ろうと思いました。しかし、浦島太郎の記憶はそこで途切れてしまいました。催眠術によって玉手箱は開かれてしまい毒の煙を浴びてしまった浦島太郎の体は急激な老化を始めました。

意識が戻った浦島太郎は自分の手が老人のようにしわが入っていることに驚き、夢を見ているのだと思い、この悪い夢が早く終わることを祈りました。

ただ不思議なことがあります。夢なのに眠くなるのです。何となく気持ちよく眠りに落ちた浦島太郎はその後二度と目を覚ますことはありませんでした。

グリム童話か!!

こういうのが真実だったりしたら、怖い話よなあ。美味い話に乗ったらひどい目に遭うぞいう教訓であり、向けてはいけない相手に善意を向ければ、恩をあだで返されるという恐ろしい教訓だった。とか・・・・。

浦島太郎って普通に恐ろしい話だよね。どこがおとぎ話だか・・・・。









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